非上場株式の納税猶予制度
非上場の優良中小企業ともなればその株式の評価は、何十億円になることもあります。
個人資産を多額に蓄えていれば相続税の納付もすることは可能でしょうが、換金性のない株式が財産額のほとんどを占めるという経営者もたくさんいらっしゃいます。
しかし、創業家として事業を引継いで従業員やその家族を含めた多くの人の責任を後継者である相続人は負っています。
そのような状況が問題視されて作られた制度が「非上場株式の納税猶予制度」です。
この制度は一定の要件のもと非上場株式の株価を20%まで圧縮して財産額を評価して相続税額を計算するものです。
ただし、事業承継後に一定要件をクリアできなかった場合は、100%評価におきなおして相続税の計算を再計算して遡って相続税を払わなければなりません。
個人的にはこの制度は不完全としか言いようがありません。
なぜなら、この制度は5年間の間従業員の雇用維持を要件としているのです。当然に雇用は守るべきものでありますが、企業が存続し続けようとするためには、時には人員整理もやむなしと言う状況がくる可能性は非常に高いのです。
もし、雇用を維持しなかったら、その段階で相続税を遡って払えといわれるのです。・・・おそらく払えるはずがありません。そのときは、担保として差し出していたその優良中小企業の株式が国庫に帰属することになるのです。
ですから、この制度を適用するには相当の慎重さが必要となってくることは間違えありません。
株価が下がったときに、株式を大量に贈与や売買をする対策をまずは検討することをお勧めします。